今回もキイロスズメバチです。
先月から悪天候の長雨が多い今日この頃。
長雨はキイロスズメバチ達の生活にも大きな影響を与えます。
キイロスズメバチの巣は木材等の繊維、泥、及び働き蜂達の唾液で作製されたもので、パルプ(紙質)の物なので、
風雨で濡れると簡単に破損してしまいます。
なので、
台風や熱帯低気圧などが通り過ぎた後に
キイロスズメバチ達が濡れてしまった元の巣を捨てて
大群で一気に大きな巣をつくってしまう事があるので気をつける事をオススメします。
画像は納屋の中で雨風の影響を受けないで営巣しているキイロスズメバチの巣です。
長雨の影響は他にもあります。
キイロスズメバチの狩猟の獲物は主に昆虫で、ハエ、蛾、バッタ、イモムシ、セミなど多種多様なのですが
それらの昆虫は長雨だと姿をみせなくなってしまいます。
キイロスズメバチの働き蜂が、雨降りの中を無理して狩猟に出かけて飛んでても、
獲物となる昆虫が隠れてて見えないのです。
そうなるとキイロスズメバチ達は腹が減って困るのです。
↑この「腹が減って困る」には少し解説が必要です。
キイロスズメバチの成虫(働き蜂含む)は、狩猟の獲物の昆虫を直接食べる事は出来ません。
キイロスズメバチの成虫が昆虫等の固形物を無理矢理食べても、ウエストが非常に細いのでお腹に食べた物が入らないのです。
なので
キイロスズメバチ成虫(働き蜂)は獲物の昆虫などを捕らえて肉団子にしたら、
それを持って巣に帰り、
肉団子を幼虫に与え、
幼虫は肉団子をくれたキイロスズメバチ成虫に栄養液(唾液)をあげるのです。
キイロスズメバチ成虫は、この栄養液を主食として生きているのです。
つまり、
キイロスズメバチ成虫(働き蜂)は、狩猟して獲物を持ち帰らないと栄養液にありつけないので「腹が減って困る」のです。
長雨で狩猟が困難でキイロスズメバチ働き蜂が困った時、彼女ら(キイロスズメバチ働き蜂は全てメス)がとる行動の選択肢に子殺しがあります。
それは、
巣の中のキイロスズメバチの幼虫を殺し、他の幼虫に獲物として与えて栄養液をもらうのです。
しかし、長雨が続くと子殺しも限界があります。(やりすぎると当然群が衰退してしまいますから)
その場合の打開策としてキイロスズメバチは花の蜜や果実を狙うのです。
花の蜜は、長雨で日照不足となると花も光合成による花の蜜を充分出せなくなりますので、キイロスズメバチ達は果実に群がる事となるのです。
前述のようにキイロスズメバチは固形物を食べれないので、
水分量の多いブドウやモモ、
或いは熟してやわらかくなって水分量も増した果実を求めます。
巣から多少遠くても、
生きる為に雨の中をブドウ等に群がるんですね。
夏や秋の長雨の際は、家庭菜園のブドウやモモ等は極力早めに収穫するか袋を被せる、ビニールハウスの出入り口を閉める等してスズメバチに食べられないように気をつけるといいと思います。