ニホンミツバチ保護飼育 佐々木 伸一

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2021.07.25 ニホンミツバチ 034番

2021.07.25 ニホンミツバチ 034番

夏の暑い日が続くとスズメバチの被害を時折耳にするようになりますね。

画像は先日駆除の際に捕まえたキイロスズメバチの働き蜂たちです。

大型のスズメバチ(Vespa属)はアジアで発生し、アジアにて繁栄し生息域をアジア全域に拡大していった種です。

その為、本来はアジア以外には大型のスズメバチは生息していませんでした。

日本国の環境省のホームページによりますと、

大型のスズメバチであるツマアカスズメバチが今世紀に入ってヨーロッパに中国からの船舶によって侵入定着し、

ヨーロッパ全域に迄生息域を拡大し続けているようで、ツマアカスズメバチによる死亡事故もヨーロッパにて毎年発生してしまっているようです。

近年では、アジアのオオスズメバチ(Vespa mandarinia)が北米大陸にて巣をつくって活動しているのが確認されているのがニュースになってましたね。

日本国内には、Vespa(ベスパ)と呼ばれるスズメバチ属は7種類生息しており、

更に対馬、大分県、山口県にてツマアカスズメバチが確認されはじめたので、

そうすると日本国内ではスズメバチ属は8種類いる事になります。

オオスズメバチ(Vespa mandarinia)
ヒメスズメバチ(Vespa ducalis)
モンスズメバチ(Vespa crabro)
コガタスズメバチ(Vespa analis)
キイロスズメバチ(Vespa simillima)

チャイロスズメバチ(Vespa dybowskii)
ツマグロスズメバチ(Vespa affinis)
ツマアカスズメバチ(Vespa velutina)

上記の8種類のスズメバチはそれぞれ特性が異なります。

それらの各種スズメバチの対処方法などを、長く駆除業をやっていた自分の経験や体験を踏まえて次回から順次解説していきたいと思います。

まずは近年日本国内へ侵入を開始してきているツマアカスズメバチについて解説します。

いくつかの資料によりますと、ツマアカスズメバチは東南アジアのインドネシアで発生した種らしいです。

赤道に近い熱帯は、非常に多くの昆虫が繁栄し生息していて、過密で苛烈な生き残り競争が繰り広げられていると思われる所です。

そんな激しい生き残り競争の真っ只中で発生したツマアカスズメバチなので、

過酷な過当競争に勝ち抜くたくましさを過剰に持っているのは容易に想像できますね。

だからこそ世界各地にて、他の既存の昆虫達の生息域へ侵略的外来種として急速に生息域を拡大していっていると思われるのです。

上記説明だけでツマアカスズメバチのヤバさはなんとなく理解出来ると思います。

そして昆虫種としてのヤバさだけではなく、ツマアカスズメバチは人間に対する反撃性の酷さ(ひどさ)も留意すべき所があります。

ある資料によると、東南アジアにてツマアカスズメバチを怒らせてしまい逃げた際に、なんと数キロメートルも延々と追いかけ続けられたとの話がありました。

現在、日本国内にいるスズメバチにおいて、どんなに怒らせてしまったとしても数キロメートルどころか100メートルも逃げれば追いかけてくるスズメバチはまずいません。

自分の駆除の経験においても、スズメバチが数キロメートルも追いかけて来るなんてありえません。

スズメバチは、自分よりも遥かに巨大な人間を怖ろしいと考えています。

ですから、スズメバチの人間に対する襲撃は普通の状態では有り得ない事なのです。

人間が怖ろしいという心を持っているスズメバチが人間に襲撃を仕掛ける状態とは、

(1、) スズメバチの巣と仲間を守る為に反撃

(2、) スズメバチの分泌する攻撃フェロモンに酔ってしまい分別が無くなって激怒して反撃

上記の2種類の状態です。

通常、100メートルも離れれば(1、)のスズメバチの巣から充分離れた状態となりスズメバチが反撃する必要が無くなります。

そして問題は(2、)のケースです。

一般にスズメバチが集団で人間を襲撃するケースは、巣の至近距離で沢山のスズメバチが居る状態で近づいた人間に対し巣を守る為に反撃し、

その際にスズメバチはお尻からタラタラとフェロモンを投下します。

沢山のスズメバチがそれぞれフェロモンを投下しフェロモンの濃度が上がると、

その濃いフェロモンに酔っぱらったスズメバチはバーサーカーと化し、激しい憎悪と共に危険で激しい襲撃行動をとります。

スズメバチは毒針で人間を襲撃しますが本来は人間が怖いので、一般的には「一撃離脱戦法」をとります。

つまり、ひと刺ししたら直ぐに人間から離れて逃げるのです。

人間に着地して刺してる所をパチンと叩かれれば簡単に潰されて殺されてしまう事を知っているからです。

しかし、濃いフェロモンに酔っ払ってしまったスズメバチは、

逃げるどころか人間に着地してしがみつき強力なアゴで皮膚に噛みつきながらお尻の毒針で何度も刺し続けるという恐ろしい行動をとります。

何度かこの状態のスズメバチを見た事がありますが、おそろしいものですね。この行動を自分は「かぶりつき攻撃」とよんでました。

スズメバチはこの時、フェロモンに酔っ払って無我夢中になってしまっているものと思われます。

なので、巣の付近から少し離れてフェロモンの濃度が低下していけばスズメバチは正気に戻ります。

どんなに激怒していたスズメバチでも100メートルも離れたなら直ぐにフェロモン中毒から醒めて正気に戻り、人間に対する恐怖を取り戻して去っていくのです。

なので、数キロメートルもしつこく人間を追いかけて襲撃を継続して来る、というのは理屈にあいません。

その記述が事実なら、ツマアカスズメバチは既存の日本国内のスズメバチ達とは一線を画す程に獰猛なスズメバチなのかもという推測が成り立ってしまいそうです。

なのですが、ヨーロッパや他の温帯地域に侵略的外来種として現れてるツマアカスズメバチの資料をみると、熱帯での異常な程の獰猛さは薄まっているようではあります。

これは、日本国内に生息するスズメバチの中では比較的大人しく被害の少ないヒメスズメバチなのに、熱帯で生息している同種のヒメスズメバチが驚く程の獰猛なスズメバチに変貌しているという資料にヒントがありそうです。

昆虫生息に適し昆虫過密で様々な捕食圧の異常に強い「熱帯地域」に生息すると、

スズメバチは生き残って行く為に獰猛にならざるをえない環境なんだと思います。

しかし、

そんな熱帯地域と違い、

熱帯よりも生き残り競争と昆虫密度が低く、冬の季節のある温帯地域の日本だと、スズメバチの獰猛さはある程度マイルドになるものの様です。

現在、日本国内に侵入して来ているツマアカスズメバチは、

既存の日本国内のスズメバチ達よりは獰猛さが際立つようてすが、

おそらくは日本国内でよく見かけるキイロスズメバチの獰猛さと大差ないレベルに落ち着くのではないかと自分は思います。

注意) キイロスズメバチも充分に危険で獰猛なスズメバチなので誤解無きようおねがいします。

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