ニホンミツバチ保護飼育 佐々木 伸一

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2021.04.15 オオスズメバチ 010番

2021.04.15 オオスズメバチ 010番

日本各地の里山の昆虫の生態系の頂点に立つ王者として、オオスズメバチはよく知られています。
オオスズメバチ達の挙動は、最強である事に相応しくふてぶてしく、他を圧する威圧感をいつも纏ってます。

なのですが、

そんなオオスズメバチにとっても、
ニホンミツバチは「良い獲物」ではありません。

ニホンミツバチに対し、できれば相手にしたくない、危険な相手だとオオスズメバチ達は認識しているようです。


オオスズメバチは里山の昆虫界の生態系の頂点に立ち、
オオスズメバチを主な獲物として積極的に襲いかかってくる敵はいません。

その強い「王者」のオオスズメバチの、王者たる主兵装として皆さん強力な毒針を真っ先に思い浮かべるかもしれません。

しかし、

オオスズメバチ働き蜂は、狩りにおいては、そのお尻の毒針をあまり使用しないようです。

里山の生態系の頂点に立つ存在なので、
そもそも自分より弱い昆虫ばかりが相手の狩りとなるので毒針を使う必要がなく、
自分もオオスズメバチが狩りでお尻の毒針を使って相手を倒す姿を殆ど見た記憶が無いです(モンスズメバチの巣をオオスズメバチが襲撃した際、空中で縺れあってモンスズメバチと共に落下してきたオオスズメバチが毒針をたててるな、と駆除依頼現場で観察した時くらいでしょうか)。

オオスズメバチの毒針の用途は、主に大型の哺乳類や鳥類の天敵、更には人間への防衛攻撃の時に使用するもののようです。

ならば、何をもって里山の生態系の頂点に君臨出来ているのかというと、

蜂類としてのダッシュ飛翔襲撃能力を土台に、まるでカブトムシなどの甲虫のように強固で硬い「頭部顔面」と、

その頭部顔面の下半分を占める鋭く強力な「大顎」をメインの武器としているのです。

カッチカチに硬い顔面は、動きの速い獲物の様々な反撃や抵抗の不測の動きによる思わぬ被害、傷を受ける事からオオスズメバチの生命を護り

常にオオスズメバチに「被害無く獲物を処理」する大きな役割を果たしています。


これにより

超接近戦となる、主要武器である強力な大顎を使用するのに
自分の安全を確保しているのです。

オオスズメバチの狩りの行動は、常にこの強固な盾である顔面から獲物に突進し大顎で噛み砕く戦法に終始します。

この行動は獲物を「常時目視把握し続けて襲う」という理にかなった行動でもあり、
狩りの成功率を飛躍的に高める常套手段でもありセオリーでもあると思います。

このセオリーが崩れ勝ちな空中での狩りは、したがってオオスズメバチはあまり得意では無いように見えます。


さて、そんな「自分の必勝の形(パターン)」を持つオオスズメバチなのですが、
この必勝パターンを使いづらい相手がニホンミツバチです。
使いづらいどころか、ニホンミツバチは有効な反撃手段をオオスズメバチに対して行使してこようとするので、本当に厄介な相手なのです。
オオスズメバチも生き物で感情があり、死に対する恐怖もあり、反撃で殺されるかも知れない相手は正直なところ嫌なのです。

なので

山林や里山に獲物のバッタ、イモムシ、セミ、甲虫などが極端に減り飢餓が現実のものとしてオオスズメバチ群の巣で問題となってきても、

先にターゲットに選ばれるのは多くの場合は同種の各種スズメバチの巣で、
ニホンミツバチの巣はそれら各種スズメバチの巣が狩り尽くされた後となるようです。
(↑防御構造に欠陥のある、オオスズメバチが「必勝パターン」にはめやすいニホンミツバチの巣があると、秋を待たずにオオスズメバチは襲撃する場合が多いです。)
このオオスズメバチとニホンミツバチの攻防はとても興味深く、自分は駆除業やニホンミツバチ保護飼育を実施するだいぶ前から色々勉強し研究してました。


オオスズメバチの「必勝パターン」を封じ、
ニホンミツバチ側が優位にたてる巣箱構造を毎年試作し実験を繰り返してました。

試作実験を毎年繰り返すうち、オオスズメバチ側の「必勝パターン」を封じるのは当然の事として、
ニホンミツバチ側は防御率攻撃が最期まで成立させる構造に執着しなくても良い事に気付き、
更にオオスズメバチのいやがる体勢を強要する構造を置けば、

学習能力の高いオオスズメバチはそもそもその構造の巣箱に接近もしなくなりました。


現在はその構造の機能を備えた上で、「籠城」状態になってしまった時でも巣箱出入り口からのニホンミツバチの出入りが容易になるような構造を思案してますが、色々忙しくて今年も去年も試作そのものを断念してます。

巣箱には対オオスズメバチ出入り口構造だけでなく、
対スムシ構造
耐熱構造
そして地味に大切な人間側の作業のしやすさなど
注視考慮すべきポイントが多々あります。
落ち着いたら早期に試作再開を実現したいものですね。

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