ニホンミツバチ保護飼育 佐々木 伸一

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2020.12.05 オオスズメバチ 005番

2020.12.05 オオスズメバチ 005番

続きです。
公営住宅の周辺や駐車場に沢山落下しているオオスズメバチとキイロスズメバチの死骸を、いつものタッパーと火バサミ(トングの長いタイプです)で回収していくのですが、

これが地味に危険な作業です。

ムッと鼻につくオオスズメバチの攻撃フェロモンの充満してる中でいると多少感覚が鈍り気味となりますし、
いつ飛来するかわからない交代のオオスズメバチ警戒の為に、耳と気配感知に気をはってい続けるのはなかなか大変です。
そしてオオスズメバチの飛来を確認する度に、火バサミから100円虫取りアミに持ちかえて対処を頭の中で組み立て開始です。

たまになかなか近寄って来ないオオスズメバチがいると、
痺れをきらして低空に誘い込む小技を使ったり(普段は使いません。乱用してると学習されて裏をかかれたり効果が薄まったりとロクな未来がないので使わないのです)

嫌なのは障害物に囲まれて見通しの悪い場所での死骸回収作業です。
一番道路側の住宅の屋根の傾斜の構造上、スズメバチ達の死骸が塀に囲まれた裏庭に多数落下しており、
当然そこは攻撃フェロモンの濃度がむせる程に高くなってました。
住宅のかどを曲がってそこに入ろうとした瞬間にオオスズメバチの突撃を受けましたがギリ上半身をひねって回避しました。
攻撃フェロモン中毒のオオスズメバチは本当に危険ですね。激しい憎悪とともに襲いかかってきます。

自分が住宅のかどを曲がる瞬間にダッシュをくらったので、
足音の振動で感知して自分を待ち構えていたのかも知れません。

通常の場合、狭い空間での小回りのきかないオオスズメバチ相手は有利で楽なのですが、
フェロモン充満してる場合は狂ったオオスズメバチが自身の安全など考えもしないで弾丸の様にこちらへダッシュして来ます。
狭い空間でそんなダッシュ開始後に目視対応となるのは、運と反射神経のみでの対応となるので本当に危険なのです。

防護服を着る事も一瞬頭をよぎりましたが、
作業効率がかなり低下するのとオオスズメバチが全く感知出来なくなる(視界に入ってこないと見えなくなる)ので、頑張る事としました。
駐車場や生け垣の下、車の下、壁の下などのスズメバチの死骸を概ね回収した一時間程の作業中、5~6回ほど死骸回収のオオスズメバチと交代のオオスズメバチが来て対処したと記憶してます。

その後、その様子を上空から見てたオオスズメバチの気配があったのと、死骸回収オオスズメバチを1~2匹取り逃がして巣に逃げ帰られてしまったので情報がオオスズメバチの巣に伝わり、交代のオオスズメバチは来なくなりました。

そのタイミングを見計らって水道とホースを借りてフェロモンムンムンの現場にジャバジャバと放水します。(攻撃フェロモンは戦闘前や戦闘中にオオスズメバチがお尻からタラタラと投下する液体です)

オオスズメバチの攻撃フェロモンは水溶性で水に容易に溶けるので、洗い流すのです。(かなり念入りに実施しないといけません)

スズメバチの死骸を駐車場や公営住宅周辺から取り除く事により、オオスズメバチが低空に降りて死骸を守る理由を無くし、
オオスズメバチの攻撃フェロモンを洗い流す事によりオオスズメバチの興奮状態を緩和し、突然のオオスズメバチの襲撃の危険の発生を抑えます。

今回の現場の場合、
襲撃され反撃体制のキイロスズメバチ達は二階の天井裏の換気口付近でガードを固めてるので、
キイロスズメバチによる駐車場を歩く人への襲撃は特に感じられませんでした。(キイロスズメバチはゾーンディフェンスタイプ((勝手に縄張りを設定する))なので、巣が遠いと基本的に危険は少ないです)

これで、当日の安全の回復は概ねできました。

次回に続きます。

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