ニホンミツバチ保護飼育 佐々木 伸一

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2020.11.15 オオスズメバチ 003番

2020.11.15 オオスズメバチ 003番

自分の駆除は夜間にスズメバチ達が巣に戻った所をまとめて逃がさずのやり方で、現場で蜂の動きをみて様々な安全対策を組み上げて実施するので手間と時間がかかりました。
なので1日に3件駆除実施すると夜中12時を過ぎ日付がかわってしまいます。
それを田舎価格の料金でするので、値上げした最後の数年以外はずっと赤字でした。
税務署の方の「害虫駆除で赤字なんて聞いた事ない」といわれたのを覚えてます。
真面目に住人の方々の安全を追求して駆除を組み上げるやり方だと、
田舎のスズメバチの巣は巨大でスズメバチは仲間の数が多ければ多い程攻撃性を増す難敵で多くの危険の可能性を一つ一つ潰しながらの頭脳戦なので、
お金を稼ぐのには向いていない自分の性格もあり、貯金は減っていくばかりでした。
駆除依頼の中には大変に困難な現場もありました。
そんな中で印象に残っている駆除依頼がいくつかあります。
絶対にミスの許されないのはすべての駆除現場なのですが、特にミスの許されない現場がありました。
それは役場からの依頼の電話で、広島との県境に近いA地域の「公営住宅の周りを大きな蜂が飛び回り、危なくて住人が歩いて駐車場の車にも行けない」ので、なんとかしてくれとの話でした。
話の内容と時期からオオスズメバチ絡みだなと見当がつきましたが基本的にオオスズメバチは人間の気配を嫌い、住宅地には理由がない限り近寄りません。
ですが、住宅に営巣されたキイロスズメバチの巣などにオオスズメバチが襲撃を仕掛ける事があり、
このオオスズメバチの襲撃が何らかの理由で失敗した場合、その現場が危険な状態となってしまうのです。
スズメバチの獲物は本来バッタ、イモムシ、セミなどの虫です。
その虫達が秋も深まると山々から消え、結果獲物を求めてオオスズメバチはキイロスズメバチの巣を襲うのです。(キイロスズメバチの幼虫はイモムシですから)
キイロスズメバチはオオスズメバチに全く太刀打ち出来ないレベルで勝てません。
オオスズメバチ1匹でキイロスズメバチ20匹とも50匹のキルレシオともいわれます。
巨大なゴリラ(オオスズメバチ)と、小柄なニホンザル(キイロスズメバチ)の本気の殺し合いのイメージで想像すればだいたい合ってます。そんな力関係です。
依頼の公営住宅にいくつもの山を越え車で2時間以上かけてたどり着きました。
現場に到着すると、まず鼻につくオオスズメバチの攻撃フェロモンです。独特の匂いです。
周りを見渡して原因はすぐに把握できました。
公営住宅の中で1番道路側の住宅の二階の天井裏の換気口にズラリと多数のキイロスズメバチが並んで中空を睨んでいます。 ここをオオスズメバチが襲撃したようです。
これでほぼ状況は掴めましたが、念のため付近を一周し、他の危険要因がないか確認します。
道路側の住宅以外の数棟の住宅には幾つかアシナガバチの巣がある程度で、他に問題はなさそうでした。
「危なくて駐車場の車に行けない」の住宅に話をうかがいに行くと、小さなお子様が…
更に幼稚園に通うお子様もいて、今日はオオスズメバチの隙を見てダッシュで車に乗って登園されたそうです。
こんな小さな子供達を危険に晒したままには出来ません。
親御さんに何とかするから大丈夫とお伝えし、明日の午後には完全な安全を回復するプランを頭の中で組み上げます。
住人に絶対の安全を確保しつつ、明日の午後には何も無かったかの様に普通に暮らせる状況にもっていく為、経験と技術と、普段あまり使わない裏技も使って念には念をいれ、ミスの許されない仕事を開始しました。
続きます。

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