ニホンミツバチの分蜂行動と移動先の決定方法
ニホンミツバチ達は季節の流れや温度変化に敏感な生き物で、
その四季にあわせてやるべき仕事の重点を変えていきます。
その顕著な点が産卵ペースです。
山々から蜜源が徐々に減る秋にかけて産卵数は減っていき、
春先の3月頃から分蜂という一大イベントに向けて一気に産卵数が増えるのです。
そして大量に育ち羽化した働き蜂達を引き連れニホンミツバチ達は巣立ち、
新しい居住場所を求めて山野をさまよう事となります。
一般に分蜂で出てくるニホンミツバチ達は、その行き先を既に決定してから出てくる訳では無いようです。
分蜂開始する前に巣箱からの偵察蜂(蜜源など食料や水などの調達目的ではなく巣箱から飛び立つ働き蜂のうち探索目的の者の事)が作業場などをうろうろしてるのを見かける事もあり、
リーダー働き蜂達は分蜂前にある程度の目的地候補を念頭にしたうえで出て来ているのかも知れませんが、
良い時間帯良い天候気象温度状況で巣箱から大量に出て来た分蜂群の働き蜂達は手近な所に蜂球という『蜂の塊』となって密集しぶら下がります。
その『蜂の塊』は、ただ「わやくちゃ」にくっついている訳では無く、
集団としてきちんと機能しており『蜂の塊』の一番外側は蜂球を形成するために組体操のように手足を繋いで踏ん張ってますが、
その内側は自由に動ける働き蜂達もいるようで、女王蜂なんかは大きいのに結構素早く蜂球の中を移動したりします。
蜂球の中の構造をCTスキャンかMRIなんかで構造解析してみたら面白そうですね。
小さくて大して力の無い働き蜂達が無数に集まって蜂球を形成するメカニズムと構造は建築や伸縮素材のデザインなんかに応用するヒントが沢山ありそうですね。
さて、分蜂群は巣箱から出て蜂球を形成すると同時に、もしくはその直前から偵察蜂を四方八方へ沢山放ちます。
放たれた偵察蜂は目的地(新たに営巣する新居の場所)の探索がもちろん主眼ですが、
より目的地を探しやすい安全に蜂球を形成できる場所も探してきます。
この偵察蜂の飛行パターンは通常の蜜源へ向かう飛行パターンとは違い(偵察する場所までの飛行は同じかも)、
低速低空の飛行となり、こんな所まで頭突っ込んでる…と思うような場所にまで好奇心旺盛に飛び回っているようで、一緒についてったら楽しそうですね。
様々な場所の偵察をしてきた偵察蜂は皆の待つ蜂球に帰り着くと、良さそうな場所を見つけて来た偵察蜂の場合、有名な8の字ダンスで蜂球の皆さんに情報を伝えます。
ここでいつも疑問に思うのですが、
8の字ダンスは蜜源の距離と方位を伝えるものと沢山の資料に解説が載っているのですが、
この言語とは別の単語を使ってニホンミツバチ達はコミュニケーションをとって情報を伝えているのでしょうか?
蜜源を意味する単語を単に目的地に置き換えてコミュニケーションとっているんでしょうかね。
そうなると意味合いやニュアンスの修正や補助する言語を使っているかもしれません。
巣房の上での8の字ダンスと違って仲間の働き蜂達の体の上でのダンスなので、
「匂い」「振動」「行動」のうち「振動」は除外しなければならないだろうし…いや、体を巣房に打ちつけるタイプの振動は駄目でも体を左右に振る振動は蜂球上では逆にコミュニケーションのメインとして運用されているように見えます。
蜂球での高音の連鎖は「警戒」や「飛び立つ」合図と普段は理解してますが、
危険を感じていないはずの蜂球「距離をとった観察」で振動の連鎖後に移動する分蜂群蜂球の行動は一般的です。
一部の資料によりますと、「ミツバチが報告を審査し会議し、賛同者が多いと飛び立つ」とあり、自分もこの考え方に賛成で、
偵察蜂の報告(尻振りダンス)に同調して同じように振動し(これが賛同者の働き蜂)、
この同調が多くなると蜂球そのものが振動に耐えきれなくなり分解し飛び立つような印象をうけました。
実際には同調したから蜂球が瓦解したのか、振動で耐えきれず分解するのか、どっちでしょうね(両方かも)
そんなこんなで偵察蜂の報告によって移動を決める分蜂群なので、
分蜂群を迎えたい場合には『偵察蜂』に偵察してもらう事がそもそもの前提条件というか第一歩となります。
『偵察蜂に発見してもらう』
↓
『偵察蜂の外見チェックに合格する』
↓
『偵察蜂の内見チェックに合格する』
これが基本的な流れです。
この流れの解説はまた次回に…
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