ニホンミツバチ保護飼育 佐々木 伸一

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2020.07.05 二ホンミツバチ 006番

2020.07.05 二ホンミツバチ 006番

分蜂開始と王台
ニホンミツバチ巣箱から分蜂が出てくるのを最も確実に予測するには、巣箱内の巣房の下端に働き蜂達がつくる王台を観察する事です。

一般に王台は分蜂が開始される前か、既存女王蜂が寿命(2~3年と説明してる資料が多いです)となったり事故や病気などで女王蜂としての機能を失ったりした場合に働き蜂達によってつくられます。

後者の場合、働き蜂として産み落とされた卵を女王蜂として育てるので変型王台となるようです(変な形の王台)。

王台がつくられ、中の女王蜂の大きな幼虫が蛹(サナギ)となり、王台の蓋を閉めると分蜂間近だな、と判断出来ます。

なぜなら既存女王蜂は、必ず新女王蜂が蛹から羽化して出てくる前に分蜂行動を実施し巣から出ていかなければならないからです。

もし、悪天候続きや他のなんらかのトラブルで既存女王蜂が分蜂で出ていく前に新女王蜂が羽化して出て来てしまうと、
既存女王蜂(母親、もしくは姉)と新女王蜂(娘、もしくは妹)で本気の殺し合いが開始されてしまいます。


ニホンミツバチ女王蜂の毒針は、この女王蜂同士の殺し合いの時のみ使用されると複数の資料に記されてます。(蜂の毒針は産卵管が進化したものと解明されてますが、女王蜂は毒針の根元あたりから実際には卵を産みおとします)

既存女王蜂は、羽化したてで元気な新女王蜂と殺し合いをした場合たいていは体力的に劣ってしまって負けてしまう場合が多いようです。

2013年頃、色々なタイプのニホンミツバチ巣箱を試作して運用し更に色々なアイデアを試していました所、
私が実験で作った変な構造や道具を嫌ったか警戒したのか既存女王蜂の分蜂実施が遅れに遅れた事がありました(女王蜂さん大変申し訳ありませんでした)。

その時、新女王蜂が羽化直前で既存女王蜂が出て来ようとしたか、
羽化してしまったので慌てて出て来てしまったのか、
分蜂トルネードの中にニホンミツバチ女王蜂が2匹の状態となってしまいました。

新女王蜂も巣箱内の分蜂開始の慌ただしさにつられて一緒に出て来てしまったようです。

ニホンミツバチ達の群(ファミリー)には進化の末勝ち得た社会性という彼らの生活環境において強く安定し
山林や里山の生態系の健全さ維持に影響を与える存在であり続けるため、
ニホンミツバチ達のルールを厳格に守らなければならない鉄則として『1つの群には1匹の女王蜂』というルールがあるようなのです。


既存女王蜂と新女王蜂の殺し合いは私の目の前で繰り広げられました。
最初は携帯でパシャパシャ撮影してて、途中気が付いて動画に切り換えました。

この時は母親(既存)女王蜂と娘女王蜂の殺し合いで、何故か働き蜂が1匹仲裁しようと間にはいろうと頑張ってました。

掲載写真はその時のです。左の黒いお尻が母親女王蜂、真ん中が働き蜂、右が娘の新女王蜂です。
母親女王蜂は、今迄に何度も何度も六角形の巣穴にお尻を突っ込んで産卵してるので腹部の産毛が擦りきれて無くなって真っ黒なので見ためで識別できます。

しばらくの格闘の後新女王蜂の毒針が母親女王蜂に突き立てられてしまいました。

既存女王蜂の分蜂が開始される前、
巣の状態や外の環境(天候気象、蜜源植物達の状況、更には付近のニホンミツバチ生息密度も考慮してると思います)などの様々な判断材料から
いくつかの新女王蜂の王台が残されます。

一般には1つの巣箱から2~3程度分蜂するのが普通で、自分の飼育記録もそのぐらいの回数が主流だと見てとれます。

つまり王台は2~3以上つくられ、それが概ね3日から1週間位の間隔で羽化してくるようです。

例外もあり、3日連続で分蜂が出て来た(つまり1日おきに3日連続で羽化のペース)巣箱も2年前にありました。


ニホンミツバチ達の生活サイクルというかシステムは、
とても高度に完成しきっているがゆえに基本さえおさえれば結構融通がきいて柔軟な運用ができてしまうもののようです。

ニホンミツバチって本当に興味深いですね。

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