日本蜜蜂の保護飼育で懸案のひとつが設置場所の問題です。
設置に関して判断基準として、ニホンミツバチ側の都合と人間側の都合があります。
ニホンミツバチ側の都合として一般に西日(にしび)があたらず風通しのある程度良い場所がよいといわれます。
風通しは湿気がこもらず(日本蜜蜂は巣箱内で大量の湿気を出します)カビやダニや病気を予防する為に大切です。
西日は大問題で、自分が子供だった40年前は「真夏日」「熱帯夜」は8月に数日ある程度だったのですが、エアコンの普及などにより夏は7月8月9月の多く(近年はほとんどの年もありました)の日が「真夏日」「熱帯夜」で埋め尽くされます。
日本蜜蜂はその高温高熱にとても弱い巣のつくりをしています。
業者などが飼育するセイヨウミツバチは「プロポリス」という殺菌作用のある接着剤を大量に分泌し巣を強化しますが、ニホンミツバチはこのプロポリスという樹液などからミツバチ達がつくる黒い接着剤をほとんど使いません。
そうなるとニホンミツバチの巣の巣房(6角形の穴のたくさんある育児や貯蜜をする所)は蝋(蜜蝋といいます。昔はロウソクなどに広く使われてました)が主成分なので熱にとても弱く、わずかな温度上昇で急激に強度が低下し、溜め込んだハチミツや花粉、蜂達の重さ、自重に耐えきれず巣箱内でちぎれて落下してしまいます。
これを巣落ちと一般に言われてます。
巣落ちになると巣の上の方を貯蜜圏、下の方が育児圏という使い方をするのが一般的なので、育児圏に常駐してる事の多い女王蜂が犠牲になる事が多いです。
更にニホンミツバチ達は殆どの場合巣落ちしたその巣箱をあきらめて逃去します。
西日を避ける事は巣箱が加熱され続けてしまう事を避ける為に大切な条件であり、又ニホンミツバチ達も本能的に西日のあたる場所の巣づくりを避ける傾向があるように見受けられます。
更に問題なのがニホンミツバチの巣箱は1ヶ所にまとめてたくさん設置出来ないという点です。
何度か実験してみましたが、同じ敷地内には2つか4つ迄が限界なようで、それ以上に設置すると各巣箱の蜂達の逃去熱が異様に高まりストレスを溜め込み、働き蜂達の行動圏内の環境事情にもよると思いますが、働き蜂達の勤労意欲まで低下するように見受けられました。
人間側の都合として、まず設置場所近隣の住民や地権者の方の理解と了解が前提条件なのは言うまでもありません。
公共の場所や道路脇など、設置に都合がよくても勝手に置くと迷惑をかけてしまったり違法行為となる可能性もでてきます。
更に巣箱での様々な御世話の作業のしやすさも大事です。
風水害に対して安全性の高まる軒下や建物の中などだとかなり良い設置場所となるようです。
そして大事なのが農薬や除草薬などを大量に使う果樹園や田んぼなどの近くは避けた方が良いです。
最近の殺虫剤は本当に高性能で、ニホンミツバチは毎年大量に犠牲になっています。
他にも巣箱の設置場所の良し悪しは様々な条件がからみ、ケースバイケースな性格があり頭を悩ませる問題ですね。
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